タテゴトアザラシの生態
和名:タテゴトアザラシ学名:Phoca groenlandica
英語:Harp seal 仏語:Phoque de Groenland 西語:Foca de Groenlandia
タテゴトアザラシの分類:食肉目鰭脚亜目アザラシ科
タテゴトアザラシのサイズ
パップ:体長85cm 体重10kg成 体:♂体長1.9m 体重135kg | ♀体長1.8m 体重120kg
タテゴトアザラシの地理的分布
タテゴトアザラシは北極海と北大西洋ならびに隣接するハドソン湾とパフィン島から東はロシア北部のチェリュスキン岬までの範囲に広く分布しています。
もっともよく知られる3つの個体群が集中するのはマグダレン諸島付近で、
ニューファンドランド北東沖とラプラドル南部沖近くの海域です。
タテゴトアザラシは主に浮氷に棲んでいますが、夏には氷から離れていることもあるそうです。
タテゴトアザラシの特徴
タテゴトアザラシの頭部はやや長く幅広く、扁平です。
鼻づらは長くわずかに先が細くなり、成体では上向きに見えることもあります。
目は寄っており、前頭部に向かいわずかに傾斜しています。
ヒレは比較的小さく、前ヒレはわずかに尖り角張っており、指の末端はそろって短く、黒っぽい爪があります。
毛皮の模様は成長に伴う変化があり、この種の最もはっきりとした特徴です。
タテゴトアザラシの子供の純白の毛皮(ホワイトコート)は約12日間保たれ、
その後グレーコートと呼ばれる灰色っぽい毛皮になります。
約21日目にはところどころ毛が抜け始め、ラグドジャケットになり、
代わりに黒い斑紋のある灰色の亜成体の毛皮が広がるとビーター(beaters)と呼ばれます。
13〜14ヶ月目でビーターは再び換毛しますが、性成熟の始まる頃までは模様は変わらず、
ベッドレイマー(bedlamers)と呼ばれます。
成体の模様は複雑で変化に富み、地色は銀白色です。
幅不定の2本の黒い帯が肩の上部で合わさり、三日月のように後方へ伸びて骨盤付近の側面まで下がり、竪琴のような型になります。
この模様は上から見ると大きく不規則なV字状に見え、黒い模様は黒い模様は後ヒレの付け根にもある場合があるそうです。
程度の差はありますが、成体になっても斑点が残るものも多く、
背側の竪琴模様が不完全なものは「ぶち竪琴 – spotted harps -」となります。
少数では竪琴模様にまったくならずに斑点が残り、濃い縞模様になることがあり、
この場合は「すすけた竪琴 – sooty harps -」と呼ばれます。
タテゴトアザラシの行動
タテゴトアザラシは回遊性で、冬の終わりにパックアイスの南端で繁殖し、
春にはその近くで換毛し、夏には氷を追って北極海の高緯度の地域へ移動します。
水中はとても活動的で、非常に大きく賑やかな密集した群を作り、行動することがあります。
繁殖は水中で3月中旬から下旬に行われ、子供は2月下旬から3月中旬に生まれます。
タテゴトアザラシは出産のためパックアイスに集まり、密集した巨大な集団を作ります。
餌は回遊中は様々な種類の甲羅類と外洋の魚類を食べますが、
夏の間には北部で数種類の底棲性の魚を食べるようになります。