ザトウクジラ

ザトウクジラの生態

和名;ザトウクジラ
学名:Megaptera novaeangliae
英語:Humpback whale 仏語:Baleine á bosse 西語:Rorcual jorobado

ザトウクジラの分類:クジラ目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科

ザトウクジラのサイズ

新生児:体長 4.5〜5m
成 体:体長 11〜16m 体重は少なくとも35t

ザトウクジラのウォッチング最適地と適期

最適地:オーストラリアの東海岸
適 期:ニューサウスウェールズ州 5月下旬〜7月・9月下旬〜11月
    クイーンズランド州 8月〜11月

ザトウクジラの地理的分布

地理的分布
地理的分布

ザトウクジラは沿岸海域で摂餌や繁殖をし、人口集中地域の近くにも出没することの多い事から、大型クジラ類の中では最も親しまれています。

ザトウクジラは、大洋区をこえて回遊します。
繁殖海域である熱帯から極圏ないし亜極圏に回遊し、南北いずれの半球でも海氷縁摂餌海域まで到達します。

ザトウクジラの特徴

ザトウクジラはナガスクジラ科に属しますが、
一般的なナガスクジラ類の体つきとはかなり異なっています。
ザトウクジラの体は他のナガスクジラ類よりも遥かにずんぐりとしており、
胸ビレは極めて長く体長の3分の1にもなり、イボのような突起が並んでいます。

ザトウクジラ
ザトウクジラ
ザトウクジラの尾ビレ
ザトウクジラの尾ビレ
ザトウクジラの背ビレ
ザトウクジラの背ビレ


尾ビレはギザギザとしており、上から見ると前へ湾曲しています。
また、尾ビレの下側の特徴的な紋様の写真により個体を識別できるそうです。
背ビレは低く、基底部が広く、大抵はコブ状の突起の上にあります。

体色は背側が黒か黒に近い灰色で、腹側は白いこともありますが、白黒の境界が変異に富み、個体ごとに異なっている感じがあるそうです。
胸ビレは腹側面(裏側)は白く、胸ビレ全体が白い個体もあれば背側面の大半が黒い個体もあります。

ヒゲ板は黒からオリーブ色で、270〜400枚です。

ザトウクジラの行動

ザトウクジラ
ザトウクジラ

ザトウクジラは、通常単独または2〜3頭の群ですが、
摂餌海域や繁殖海域では大きな群を作ります。
ザトウクジラはアクロバティックで、体の大半が水面から跳び出す
完全なブリーチングをすることもあります。

ザトウクジラは20頭近く集まって共同で魚の群を追い、捕らえます。
バブルネット、バブルクラウド、尾の打撃などの様々な方法でオキアミや小型の群を作る魚を密集させ、捕らえやすくします。

ザトウクジラのバブルネット・フィーディング

ザトウクジラと言えば「クジラの歌」が有名ですが、
「バブルネット・フィーディング」と呼ばれる驚異的な摂餌行動も有名です。

南半球のザトウクジラは主にオキアミを食べ、北半球のザトウクジラはオキアミの他、ニシンやカラフトシシャモなどの群遊魚も食べます。バブルネット・フィーディングは北半球のザトウクジラが行い、ニシンなどの魚を食べるときに見られるそうです。

バブルネット・フィーディングは複数のグループを作ったザトウクジラが魚群の周囲や下を回り、噴気孔から吹き出す泡でカーテンを作ります。そして徐々に輪を狭めながら螺旋状に上昇し、海面へと追い上げた魚を呑み込みます。

バブルネット・フィーディング
バブルネット・フィーディング

↑ザトウクジラのバブルネット・フィーディング。
ザトウクジラは、まず顎の骨を頭蓋骨から外し、口を大きく開けるようにしてからバブルネット・フィーディングを始めるそうです。

ザトウクジラの動画



↑こちらの動画は船がクジラに近付いたのではなく、クジラから近付いてきたそうです。

DVD【鯨たゆたう、青のうた】でも語られていますが、人が側にいる時は波が荒立たないように気遣ってくれたり、ザトウクジラはとても心優しいクジラのようですね。

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映画【タイタニック】でも手腕を振るった名カメラマンが、何千マイルも移動するザトウクジラの生態を1年にわたって撮影しました。
数ある海棲哺乳類のドキュメンタリーの中でもお気に入りの作品です。
ザトウクジラの歌はもちろん、迫力のバブルネット・フィーディングも見られます。お勧めです。^^